VFRが世界と戦うために必要なベース!!- アメリカのドローン市場 – Part②

~春原先生のドローン初心者講座 vol.2~

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【 春原久徳 先生 ―profile― 】
VFR株式会社のアドバイザー。
2015年12月ドローン・ジャパン株式会社設立。『ドローンビジネス調査報告書2018』『ドローンビジネス調査報告書2018【海外動向編】』(株式会社インプレス)を調査執筆、Drone.jpでコラム[春原久徳のドローントレンドウォッチング]連載中。他にも各産業業界誌で多数執筆。農林水産省、NEDOや各業界団体でのドローン関連の講師を年間60~80回程度行っている。

執筆記事:https://www.drone.jp/column/sunohara



こんにちは、VFR広報の村中です。
本記事は、「VFRが世界と戦うために必要なベース!!- アメリカのドローン市場 –part①」の続編となります。まだお読みになられていない方は、こちらを先にご覧ください!
part①

それでは続編スタート。



|  ここまでは、ドローンのセキュリティについて教えて頂きました。
いよいよ本題に迫りますが、そもそもアメリカほど基盤が整っている国ならばオープンソースで戦う必要性はあるのでしょうか、、

 それはアメリカがオープンソースにシフトするくらいDJIは強いという風に捉えてください。だからVFRだけでなく、日本のドローンメーカーはもっと世界に目を向けるべきだと私は考えています。アメリカがオープンソースに舵を切ったのは最近(2020年頃)ですが、実は2015年頃からアメリカVS 中国のドローンを巡る戦いは始まっていました。当時アメリカのドローンメーカーの中で代表的であった「3DR」は、今も人気を博しているDJI機体のPhantom(ファントム)に対抗し、黒いPhantomと呼ばれる「SOLO」を発売しました。しかし、2015年のクリスマス商戦で、アメリカはDJIに敗れてしまい、2016年に「3DR」はハードウェア事業からの撤退を表明する結果となりました。



|  主力メーカーだった「3DR」がドローン業界から姿を消した後は、アメリカはどのような戦略を立てたのでしょうか。

ここでは「3DR」にアプリケーションなどを提供していたドローンサービス企業に着目します。アメリカの主力ドローンメーカーが姿を消した後、ドローンサービス企業はDJIが提供する「SDK(Software Development Kit)」を使って、DJI用のサービス開発を行って様々なサービスの実用化を行っていきました。DJIはそこからソフトウェアやサービスのパートナーを増やし、ドローン業界でのポジションを盤石にしていきました。




| アメリカが2020年に一気にオープンソースに舵を切ったということは、その頃に何かが動き出したということでしょうか。

先ほどパブリックセーフティの分野で、使用機体の7割がDJIになったという話をしましたが、その後アメリカはこれらに置き換わるような機体の開発を自国で促すようにしました。米国国防省は「Blue sUAS」という短距離偵察ドローン開発のためのプロジェクトを立ち上げ、その仕様として採用されたのが、オープンソースプロジェクト(PX4やQ Ground Control)でした。



| これをきっかけにアメリカの方針が一気にオープンソース(PX4)にシフトされたのですね!

はい。そして、5社(ltavian、Parrot、Skydio、Teal、Vantage Robotics)のドローン会社が採用されました。更に、2020年のトランプ政権は「アメリカ製品を中国に輸出してはいけない」という禁輸措置を打ち出しました。この禁輸措置は、Microsoftやインテル(CPU)、Apple(アプリケーション)などの巨大企業にまで影響が及んでおり、そういった企業がDJIに開発協力することやDJIがそのプラットフォームを使用することが出来なくなりました。



| つまりVFRのアメリカ進出は、アメリカのオープンソースプロジェクトに乗っかるということでしょうか。

その通りです。オープンソースを採用していく企業は、そういった開かれたオープンプラットフォームや水平分業をきちんと理解していくことが重要です。ここからはVFR戦略について触れていきます。前回、オープンソースという広い世界で生き残っていくためには、先に示したオープンプラットフォームや水平分業の中で、各社の強みや尖った部分をしっかり持っていないといけないという話をしました。そうしないと他社との差別化が実現しないからです。VFRの場合は、製造面・品質管理面で戦っていく方針ですが、ドローンの場合は単体で存在する製品ではありません。



| スマホやiPhoneと一緒で、使いやすい端末(機体)に充実したアプリケーションが必要になってくるということですよね。

  アプリケーションだけではありませんよ。ドローンはシステム製品なので、開発や製造といった部分だけでなく、使いやすいシステムになっていることや管理しやすいシステムになっていることが必要です。 DJIであれば、オペレーターが現場で使いやすい「DJI GO4」などのアプリケーションを提供するだけでなく、運用管理や機体管理を行う「FLIGHT HUB」といった管理用システムを提供しています。アメリカにおいて、「DJI GO4」などに該当するアプリケーションは各機体メーカーが準備していますが、なかなか運用管理や機体管理製品の開発にまで手が回らない状況がありました。それは、日本のドローン業界も同じ状況です。

*DJI GO4アプリ*
DJI機体を飛行させる際に必要なアプリ。バッテリー残量や地図など、現在の状況を確認できるのはもちろん、カメラの切り替え、操縦時の操作内容の変更等を行うことが可能。



| オープンソース派で、DJIの「FLIGHT HUB」に置き換わるような製品を開発してくれる企業があれば良いのですが、、

まさに現在、その製品を提供しているのがアメリカであり、VFRがオープンソースで開発を進めるメリットの1つだと思います。Auterion が提供する「Auterion Suite(ドローン運用管理システム)」は、PX4を推進して開発されたドローンであれば、誰でも利用することが可能で、各社は自分たちの得意分野に専念することが出来るというメリットがあります。逆を言えば、自社だけでハードウェア・ソフトウェアの双方の技術を強みにしてドローン開発を行っている企業は、水平分業が国内に浸透したとき、自社製品よりも何倍も優れた製品が出てくる可能性だってあるわけです。VFRの戦略としては、ハードウェア領域の中でも多くの企業(特に海外)が苦手とする「部品レベルの品質保証」で価値を生み出すことを目指しています。そして、そこから生まれる信頼が、VFRをドローンの開発製造における世界No1ブランドへと導いてくれると思います。



| ありがとうございます!
最後に、Auterion(オウテリオン)とはどのような会社でしょうか。

ドローン向けオープンソース・プラットフォームを提供するスイスの会社でしたが、今はアメリカの会社になりました。「PX4」の開発者がこのAuterionを創業しました。日本でも、私自身がCEOを務めるドローン・ジャパンで、オープンプラットフォームプロジェクトを6月から開始しており、機体メーカーだけでなく、日本企業の中で強みのあるドローン用の部品やデバイスが横連携できる仕組みづくりをしています。こういった仕組みを利用して、日本の機体メーカーにもDJIやアメリカにもキャッチアップしていっていってほしいですし、世界市場に羽ばたいていってほしいと思っています。


次回は、VFRのビジネスモデルについてもう少し深堀りしてみたいと思います!
引き続き、春原先生に解説して頂きます!!