岐阜県岐阜北警察署が実施する遭難救助訓練でのドローンの実践的活用において、岐阜北警察署と災害協定を結んでいる株式会社昭和テックへの技術支援を兼ね、Casley Deep Innovations株式 会社及びVFR株式会社の共同で、ACSL製国産ドローン「SOTEN(蒼天)」による遭難者捜索の実証実験を行いました。
■訓練実施内容
訓練実施場所となった岐阜市長良古津地内「ながら川ふれあいの森 駐車場 」に設置した本部より 離陸したドローンで、山中で遭難した被災者をブラインド方式(要援護者の居場所等の状況を知らせず、支援者が捜索する訓練)にて捜索いたしました。
今回は遭難者の捜索として、国産ドローン「SOTEN」による自動飛行にて、遭難が懸念されるポイントを自動飛行して静止画撮影を行い、緊急対応および公共安全機関向けの2D高速マッピング「PIX4Dreact」によりオルソ画像化を実施。衛生写真に重ねられた現場の画像をズームして遭難者を発見可能かどうかの検証を行いました。
また飛行中は、ドローンから送られてくるカメラ映像に対してCasley Deep Innovationsが提供する「AI人体リアルタイムオブジェクト認識」でのAI解析を行いながら、セキュアな配信ソフト「DiCasterPolice」にて本部への映像伝送も実施しています。
▶︎当日撮影したオルソ画像データ
国産ドローン「SOTEN」は、カメラのイメージセンサーの前にある物理的なシャッター(幕)を開閉することでシャッターを切るメカニカルシャッターを採用しているので静止画の精度が高く、地上100m上空から撮影した画像をPIX4Dreactにてオルソ画像化したデータでも山肌や東屋などが詳細に見ることができました。PIX4Dreactは土砂崩れなどの被害状況を、衛生写真と比較することで確認するために作られた製品ですが、遭難者の人影を発見することも可能な精度です。
またこの日は、日没後の夜間における捜索の有用性も確認いたしました。夜間の飛行は目視での確認ができず、操縦をしながらの捜索活動はプロのドローンパイロットでも難しいとされている飛行ですが、赤外線カメラを使用することで周りの環境との温度差により人影を発見できるという確認が取れました。
遭難者が出た際に捜索が必須とされる個所において、あらかじめ自動飛行ルートを作成して安全性を保ちながら捜索を行う検証など、全国でも数少ない警察の訓練と連携した夜間捜索の実証記録を残すことができました。